第一話



ジリリリリリリリン!
けたたましく目覚まし時計が鳴る
「ん〜・・・・うっさいなぁ〜・・・・・」少女は寝返りをうった。



ジリリリリリリリリリリリリリリン!
未だ鳴り続ける目覚まし時計


「うっせぇッつってるだろ!しかも増えてんじゃねぇか!」
少女はキレた

それを部屋の入り口から見ていた男が一人、ぽつりと呟いた。


『105回目』


そしてその意味がどういう事なのか、1つの音が知らせた。

―ドゴン!

目覚まし時計に少女の拳がクリティカルヒットした音だ


105回目というのは、少女が今までにこうして
目覚まし時計を潰してきた回数

男は、そこからは何も言わず、
少女が起きるのを待った。



5分ほど経つと、むくっと少女は起き上がった。

「あぁ〜♪今日も良い朝だぁ〜!……あれ?また目覚まし潰れてる………?
…潰した奴見つけたらただじゃおけねぇぞ!!出て来いコラー!!!!」
自分で潰したというのに、怒っている少女を見て、
男はククッと笑うと、少女に近づいて言った

「おめェが潰したんだろ。ノレン」
男にノレンと呼ばれた少女、は、ぽけーっとした顔で言った。 「その声は………ボブ?しかもいつの間にこの部屋に?!」

「俺は、トキだ。しかもだいぶ前からいる。ボケるんじゃねぇ。ノレン君」

トキと呼ばれた男ははわざと『君』を強く発音していた。何かを企むように


プチッ。そう、血管の切れる音を聞いたかも知れない。

そして少女は叫び出した。

「ウァー俺は女ダーッ!か弱い乙女ダァーッ!」
ここでまず、『か弱い』は消えたであろう。

「んな訳ねぇだろ。お前が乙女なら世界中のGorillaも乙女になる。…はぁ、とにかく依頼だ。…『王様』からのな」
ククク、と笑いながらトキはまた、『王様』と強調した。…なぜなら―


「まじか?!という事は報酬は………!」
キラキラと顔を輝かすノレン。
「あぁ。高いぜ?」
ニヤリと笑い返すトキ。
「キタ―!!!!!久しぶりのご馳走だ♪じゃあトキの分も奢ってやるよ!」



―こう来ることを知っているからだ。

「よし、じゃあ準備を整えて行くぞ」

「イエッサー!隊長!」



そして彼等は宿を出た